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君の伝言~小原玲写真展「最後の伝言」に寄せて~

 

君の伝言〜小原玲写真展「最後の伝言」に寄せて〜

 

やりたい事は全部できたのかい 

ずっと少年だった友よ

行きたい所は全て行けたのかい 

ずっと旅人だった君よ

 

 白くて丸いアザラシの赤ちゃんの 

 微笑む口元 黒い瞳

 ふと手に取ったフォトブックの 

 写真家の名前を見てはっとした

 

 見覚えのあるその名前 

 高校時代いつもカメラ構えて

 みんなの写真を撮りまくってた

 懐かしいヤツの名前だったから

 

  ホントに写真家になったんだな 

  夢をカタチに出来たんだな

  羨ましいなと思いながらも 

  ちゃんと嬉しい僕がいたんだ

 

やりたい事は全部できたのかい 

いつも少年だった友よ

行きたい所は全て行けたのかい 

いつも旅人だった君よ

 

 人懐っこい笑顔と鼻声の

 君からあの日見せてもらった

 知らない小鳥シマエナガの写真 

 今この鳥を追いかけているんだと

 

 かわいいものたちを見つめる君に 

 聞こえてたのは この星の声

 掛け違えたボタンに気づいたこの星の 

 いつくしみの歌 かなしみの歌

 

  重たいカメラを携えて 

  無垢な魂で瞬間(そのとき)を狙って

  この星の未来を静かに憂いた 

  君の伝言は確かに預かった

 

やりたい事の全部はできてはいまい 

永遠の少年だった友よ

行きたい所の全てには行けてはいまい 

永遠の旅人だった君よ

 

でも君の伝言は必ず伝える 

約束するよ きっと伝える

君の伝言をキャッチする人たちは

確実にいる 確実にいる

確実にいる 確実にいる

大丈夫 きっと大丈夫

 

 

 

(作詞作曲:加藤和広)

 


アザラシの赤ちゃんやシマエナガちゃんの写真集で著名だった動物写真家の小原玲さんが、昨2021年11月他界されました。享年60歳。早過ぎた旅立ち。

 

実は小原さん・・・いや小原君・・・いや、私にとっては呼び捨てで小原(おばら)って言う方がしっくり来るのですが、彼は高校時代私の同級生のひとりでした。当時同級生の写真をまさに撮りまくっていた彼に、私も何度となくカメラを向けてもらいました。3年生の時は一緒に卒業アルバム制作委員などもやったりと、印象深かった同級生でした。高校卒業後20年以上顔を合わすチャンスもなかったのですが、同窓会で一緒になったり、その後私の仕事の関係で会うことなども重なり、高校時代と変わらない笑顔に接することが出来ていました。同級生のひとりとして彼の活躍ぶりはちょっと羨ましくもありましたが、それ以上に嬉しさと誇らしさを感じさせてもらっていました。小原は高校時代からずっと変わらない、人懐っこい少年のままの愛されキャラであり続けていたのです。

 

重い病になっていて自分に残された時間がそうは長くない事を悟った彼は、昨年夏、ジャーナリスト仲間でずっと親交のあった同級生A君に連絡し、そして東京で会ったそうです。「友人を撮影しプリントすると喜ばれ、撮った自分もうれしかった。喜びや幸せの写真を撮ることができた高校時代。高校のあった前橋こそがが自分の原点だった」と、彼は言っていたそうです。A君がその場で「前橋で写真展を開こう」と持ち掛けると、彼はとても喜びました。本人も来場するつもりでした。でも間に合いませんでした。

 

───A君の呼びかけで同級生有志が集まって、小原がやりたいと言っていた前橋での写真展が、開かれる事になりました。開催資金は同級生や恩師からのカンパと、全国に呼びかけたクラウドファウンディング。小原の思いに共鳴する人たちの力が集まっての、手作りの写真展。私も少しだけお手伝いをしています。開催予定は以下。

 

 

小原玲写真展「最後の伝言」=終了

 [開催期間]2022月3月12日(土)〜4月10日(日)

 [開催時間]10:00~18:00(最終日は15:00まで)

 [会場]アクエル前橋2階(前橋市表町2-30-8)

 [主催]前橋高校54会有志

 [イベント]

  ・3月12日(土)10:00〜 オープニングイベント  

  ・3月27日(日)10:30~「君の伝言」発表ミニライブ&小原君の奥様である堀田あけみさんミニトーク

 

【2022.4.11追記】

写真展は終了しましたが、アクエル前橋さんのご厚意により写真展終了後も40点ほどの動物写真が、少しの間そのまま継続して展示されています。


この歌「君の伝言」は副題[小原玲写真展『最後の伝言』に寄せて]とあるように、今回の前橋での写真展開催に際して制作されたオリジナルソングです。写真を通じて地球温暖化への警鐘を鳴らし続けた小原君の思いが、私たちから他の誰かへと次々に拡がって行きますように。