銀木犀の花が咲いたよ
銀木犀の花が咲いたよ。
大きな樹木の枝それぞれに。
溢れる緑の葉にいっぱいに。
銀木犀の花が咲いたよ。
黄色味がかった無数の白い
小さな小さな花びらたちが
清しく甘い香りを光らせて
庭すみずみまで
包み込んでいる。
この香りが大好きだと言っていた
遠い地に暮らす娘にと。
なかなか帰って来られぬ娘にと。
このかぐわしさを届けてあげたい。
せめて写真を送ってあげよう。
娘の笑顔に思いを馳せながら。
銀木犀が咲いているよと。
銀木犀の花が咲いているよと。
咲いているうちに帰っておいでと。
彼岸も来るし帰っておいでと。
香りを浴びに帰っておいでと。
さながら父は片想い。
銀木犀の香りの朝に
いとしい娘を思うのだ。
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息子の小学校卒業の記念樹ということで学校から斡旋があって買った苗木を庭の片隅に植えたのは、20年ちょっと前のこと。金木犀の苗木と言うことで植えたのですが、花が咲いてみたら白い(笑)。金じゃなくて銀木犀だったのでした。
金木犀に比べると、香りの強さがやや弱くて、品の良さがある。あ。あくまで個人の感想です。が。銀木犀で、かえって良かったよね、と言うのが毎年花が咲くこの時期の我が家で交わされるお決まりの会話になってます。
もう先々週になるのかな。20数年の時を経てすっかり大木になった我が家の銀木犀にもたくさんの花が咲きました。朝起きて新聞受けに新聞を取りに、と思って玄関を出たら、ふわっと。甘く爽やかな銀木犀の香りが漂って来ました。ああ今年も咲いてくれたんだなぁと樹に目をやると、前日まで蕾がついていたことに気づかずにいたのが不思議なくらい、銀木犀の花盛り。私にとってみると、今年の銀木犀の開花は突然でした。
ああ咲いたなぁ。息子の記念樹として植えたんだけど、特にこと香りが気に入っていたのは娘の方だったなぁ。などと、突然の銀木犀の香りの中でふと思い出しました。コロナ禍と言うこともありもう1年も会っていない娘にこの香りを楽しませてあげたいなぁ。などと考えて、せめて写真だけでも送ってあげようかなとスマホで撮って。撮った写真に「銀木犀の花が咲いたよ。」の一言だけを添えて送信。いや。一言だけしか添えられないまま、送信。
一言だけしか書けなかったんだけど、言いたい事はもっとあるよなぁ。と、散文詩みたいなものを書いてインスタにアップして娘に思いを伝える方法を思いつき、早速実行。娘も私のインスタアカウントをフォローしてるはずだし。
その散文詩がこれです。せっかく書いたのでインスタだけじゃもったいないかなと(笑)ブログにもアップ。
あ。
インスタに上げた写真とこの散文詩の効果もあってか(娘がこの散文詩まで読んでくれたかどうかについては実のところは謎なのですが笑)、銀木犀の花には間に合わなかったものの、このお彼岸は娘も何日か群馬に帰って来てくれました。ふふふ。めでたしめでたし。